孤独(ひとり)

兄


 重い疲労がずっしりと両の肩に乗っていた。
 微かな溜息が、意識する間もなくこぼれる。


 ゆらゆらと揺らめき、滲んでいく風景。
 美しい空も緑も、オレには意味がない。

『オマエがいない――どこにもいない』

 心の臓を突き刺す、激しい虚脱感。
 矛盾するそれに、改めて思い知る。
 どれだけ存在に依存していたのか。
 その魂に癒され護られていたのか。

『失って……もう、二度と還らない』

 傷が疼く。
 癒える事のない喪失の傷が――




《画布》
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