孤独(ひとり)2

弟


 ゆっくりと陽が暮れていく。
 面頬を過ぎる風は、きっと冷たいのだろう。
 呟いてみる、二度と応えてはくれない名前。
 弔鐘が打ち鳴らされ、闇が忍び寄ってくる。
 ゆらゆらと揺らめき、滲んでいく風景。


 必ず元の身体に戻ろう。
 絶対二人一緒に戻ろう。


 それは簡単な事じゃないと解っていたけれど。
 だけど……兄さん。
 いずれ叶う現実になる筈だった。


 ――ボクはもう二度と感じない。
 いつか一緒に見た美しい夕焼け空も、緑したたる草原も。





《画布》
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