ゆっくりと陽が暮れていく。 面頬を過ぎる風は、きっと冷たいのだろう。 呟いてみる、二度と応えてはくれない名前。 弔鐘が打ち鳴らされ、闇が忍び寄ってくる。 ゆらゆらと揺らめき、滲んでいく風景。 必ず元の身体に戻ろう。 絶対二人一緒に戻ろう。 それは簡単な事じゃないと解っていたけれど。 だけど……兄さん。 いずれ叶う現実になる筈だった。 ――ボクはもう二度と感じない。 いつか一緒に見た美しい夕焼け空も、緑したたる草原も。