Luka


「スネーク……」
 相棒の溜息交じりの声音が耳に飛び込んできて、俺は慌てて顔を上げた。
 眠気を誘う午後の陽射しの中。
 外は汗ばむ程の陽気だが、俺達は適度に冷房の入った室内で互いに好きな事を
している。
 相棒は相変わらずネットの虫で、あちこちのサイトを遍歴しているらしい。
 俺はといえば、午前中は銃の手入れをし、あとは取り立ててする事もなかった
ので床に落ちていたちょっと古い科学雑誌を斜め読みしていた。
「あ? 悪い、聞いてなかった。何だって?」
 オタコンは黙ってある一点を指差した。
 それを辿って視線を巡らせれば――
「……灰皿?」
 それがどうかしたか、と目で訊ねれば、更に深い溜息をつかれる。
「スネーク……君ねぇ。今日一日でどれだけ吸ったか、自覚がないのかい!?」
 言われて改めて灰皿を見れば、確かにいつもより本数が多いような気もする。
「まあ、大目に見てくれ」
「見れないよ!」
 普段から煙草や酒の量には口喧しい相棒だが、今日は随分と食い下がってくる。
「いっつも言いたいのを我慢してたけど! どう見てもこれは吸い過ぎ! 誰が
どう見たって吸い過ぎ!!」
 どん、と机に拳まで叩きつける。
「お、おい。オタコン?」
 いつになくシリアスに怒っているのに、ちょっと驚く。
「暇を持て余しているから、こういう不健康な生活になるんだよ」
 続いて、俺の目の前にばさりと広げられたモノ。
 だらだらと、何枚も続いたストックフォーム用紙。その一行に、赤マジックで
大きく丸印がつけられている。
「……何だ」
 訝しげに目を眇めて見れば、何やら細かな文字がびっしりと書かれている。
「ネットで君に合いそうなのを拾ってきた。仕事しよう!」
「何?」
「個人的に使える資金が少々、心許なくなってきたんだよね。勿論、近日中には
入金されるんだけど、その繋ぎにちょっと稼いでおくのもいいだろう?」
 妙に力を入れてアルバイトに固執するオタコン。俺は怪訝な思いで広げられた
ページを見た。
 そのまま硬直する。
「…………本気か?」
「君なら余裕だろ?」
「そういう問題か?」
「文句は言わない!」
「…………やれやれ」
 俺は複雑な思いで、それを見やった。そこには、こうあった。
‘求む警備員! 経験者優遇。各種保障有’


 そして、結局こんな羽目になっている。
 俺はそっと溜息をつきながら、その長閑な光景を見詰めた。
 経験者優遇はかなり効いた。
 何せ銃器関係の取り扱いや、体術などは本業だ。簡単なデモンストレーション
であっさり採用となったのは、まあ当然だろう。
 オタコンもオタコンで(流石に警備員枠ではどう頑張っても無理があったので)
設備の保守点検員という採用口に潜り込んでいた。
 しかし、その採用先というのが‘ここ’では……
〔スネーク……気が散ってるんじゃないのかい?〕
 イヤホンからオタコンの苦笑いが聞こえてきて、俺ははっと気を引き締めた。
 俺達は今、仕事中なのだ。
 そう、たとえいつもより楽でも簡単でも、これはれっきとした仕事なのだ。
 俺はともすれば逸れそうになる意識を、眼前の賑やかな光景に無理矢理戻す事
で何とか保とうとした。
 子供達が楽しそうに遊んでいる。
 この暑いのに、どの子も元気だ。
 全力で走り回る。
 大声で笑い合う。
 転ぶ時も豪快だ。
 すぐに何事もなく立ち上がる子もいれば、大泣きする子もいる。
「はい、到着〜。降りる時は足元に気をつけてね。降りる人が先だからね〜? 
良い子は順序良くね?」
 やたらと楽しそうにアナウンスしているのはオタコンだ。
 妙に慣れている感じがするのは、気のせいだろうか……?
 賑やかな音と共に勢い良く突っ込んできたジェットコースターから、興奮気味
の子供やカップルが降りてくる。
 暑い陽の光が石畳に照り返し、気温はきっと余裕で35℃を超えているだろう。
 フライパンの上の卵とか、熱く焼けたステーキ、といったイメージが浮かんで
くる。
 俺は襟元を寛げたくなるのを我慢して、もう一度周囲に視線を走らせた――


 遊園地での警備員の存在は、単なる示威行為以外のなにものでもない。遊びに
来ている者へ安心感を与え、不埒な事を考えている奴らに実行を躊躇わせる。
 それ以上の意味はない。
 実際に警備員が走り回るような事態など、そうそうないだろう。大抵は迷子の
捜索か、道を尋ねられるが精々だ。
 どの顔も束の間の楽しさに笑み崩れ、どこにも不安な要素は見当たらない。
「すいませ〜ん! シャッター、押して貰えますか?」
 若い女性ばかり、四〜五人程のグループだ。その内の一人が俺に写真機を差し
出していた。将に写真機と称するしかない、女性が持つには少々不釣り合いな、
かなりごついものだ。
「……ああ」
〔スネーク、もうちょっと笑顔で受け答えしなよ、君らしくもない〕
 どうやらこちらを見ていたらしいオタコンが、言わずもがなの突っ込みをして
くる。
『ほっとけ』
 心の中で突っ込みを入れつつ、意識は目の前の少女に併せる。
 それにしても……暑い。
「あのコースターが入るようにお願いします。あ、ピントはオートじゃないんで
ここで合わせて下さい」
「解った」
 彼女は慣れた手つきで仲間の方にレンズを向けると、大体の調節をした。
 軽く頭を下げ、にこっと笑うとポーズを取っている仲間の元へ駆けていく。
 フレームの向こうで楽しげに笑っている少女達。
 彼女の腕は確かだった。殆ど調節する事もなく、幸せを写し取る。
「有難うございます! お仕事中に済みませんでした」
「いや、気にするな」
 俺は小さく、笑みともいえないものを浮かべて、彼女に写真機を返した。
 それを見た少女の頬に、うっすらと朱が上る。
 彼女は赤くなった頬のままもう一度頭を下げると、友人の方へ走り寄った。
「ちょっと恰好イイ警備員さんだったね」
「制服似合ってるよね〜」
「あ、それ私も思ったー」
 声を落としもしないそんな会話に、もう一度苦笑が漏れる。
 羨ましい。
 自然とそう思う。
 たまたま今はこちらの世界に紛れ込んでいるが、指令が舞い込めばすぐにでも
こんな幸せな“非日常”の風景からは弾き出されてしまう。
 後悔している訳ではない。
 何度過去に遡ろうが、結局、俺は同じ結果を選び取ってしまうだろうから。
 暑さの余りか、意識がぼんやりと彷徨い出しそうになる。
 と、突然子供の泣き声が響いてきた。
 イチゴ柄のスカートが可愛い女の子だ。傍には誰もいず、どうやら迷子らしい。
 生憎、近くには迷子係のお兄さん・お姉さんはいない。
 俺はちょっと躊躇ったが、傍に近寄った。
「どうした? 親とはぐれたのか?」
 女の子は泣きながら顔を上げ、次の瞬間、更に盛大に泣き出した。
「………」
 ちょっと憮然とする。そんなに泣く程怖い顔をしていたか?
〔オタコン、ちょっとそこから子供を捜してそうな親がいないか、見てくれ〕
〔了解……〕
 言葉尻が笑っていたような気がしたが、この際それは不問にする。
〔えー、迷子さんのお呼び出しです。イチゴ柄のスカートに、赤毛のミツアミの
二歳くらいの女の子です。お父さん、お母さん、早く迎えに来てあげて下さい。
ジェットコースター前で待ってます〕
 探しながらついでに放送もかけてくれるオタコン。
 ものの数分もしない内、慌てたように駆けつける若い夫婦の姿が見えた。
 頭を下げながら子供を連れていく両親を見送り、俺はやれやれと首を振った。
〔大丈夫、スネーク?〕
〔これは、潜入より疲れるな――色々な意味で〕
〔あはは、僕は結構楽しいけどな? 面白いよ〕
〔そうか、良かったな〕
 オタコンの奴、子供と俺を一緒にしてるのか。
 全く、あとで覚えていろよ。


 そして、広い園内を一見適当に、実際は決まった経路を巡回する。
 そろそろ宵闇の気配が色濃くなってきている。しかし、今夜は花火とパレード
があるそうで、園内は益々盛り上がりを見せていた。
「――?」
 ふと意識の片隅に、警告とも思えない違和感のようなものが引っかかってくる。
『何だ?』
 目線の先に捉えられたもの――
 一人の子供が敷石に腰をかけ、頬杖を突き、何かを一心不乱に見詰めていた。
 しかし、その表情はとてもではないが、遊園地に来ている子供のそれではない。
ここの雰囲気にはそぐわない、仏頂面をした子供だった。それも、ねだったもの
が買って貰えなかったというような不機嫌さではなく、およそ子供らしくもない
世界の全てを斜めに見ているような表情だ。
 着ているものも粗末を通り越して、単なる襤褸だ。
「どうした、迷子か?」
 さっきもこれで失敗したばかりなのだが……
 自分でも苦笑しながら、俺はそっと声をかけた。
「チガウよ」
 どっちがぶっきら棒なんだが判りやしない、身も蓋もない返事だ。
「御両親や友人はどうした?」
「一人さ。ジャマしないでくれよ」
 視線が初めてこちらに向けられた。
 ちょっと驚いたように見開かれた両の瞳。だが、それはすぐに興味の色を失い、
あっさりと逸らされた。
「だったら尚更放ってはおけないな。こんな遅くまで子供が一人でうろつくもん
じゃない」
「セッキョウは間に合ってるよ」
「説教じゃないさ。これは忠告だ」
 その子供はもう一度、今度は明らかな興味を持って俺を見た。
 お互いの視線が交わる。
「アンタ、変わってるな」
 暫くして、子供が口にしたのはそんな言葉だった。
「お前もな」
「頭ごなしに追い散らされなかったのは、ハジメテだ」
 何となく笑みが漏れる。
 どうやら、想像通りこっそり潜り込んでいたようだ。
「オレさ、今日……家を出てきたんだ」
 まるで、本に書いてある事を読むかのようにさしたる感慨もなく、子供は口を
開いた。
「親父は飲んだくれ。母さんには逃げられてさ。で、腹癒せにぶん殴られるオレ」
「………」
 遠くで一際高い歓声が上がる。
 どうやら今夜の目玉、パレードと花火が始まったらしい。
「どっちを見てもいつもナンモなくてさ……笑っちまうだろう? イマドキ三流
メロドラマですら相手して貰えないぜ、こんな話」
「………」
 賑やかな音楽と踊り、煌めく光の魔法。
 笑い、喜び、また歓声。
 その中に黒い滲みのように――異物のように蹲る子供と、その背後に佇む俺。
「そして……結局、三流ドラマの結末のように逃げ出すのか?」
 振り返った子供の表情は、惜しげもなく降り注ぐ光の中に隠れ、見えない。
 パレードは弥が上にも盛り上がり、花火もクライマックスへ向けて巨大な花を
天空へ咲かせている。
「……オッサンから見れば、逃げてるように見えるのかもな」
 小さな、小さな囁き。
 曲の切れ目に当たっていなければ、聞こえなかっただろう。
「オレには夢があるんだ」
 降り注ぐ細かな金の鎖のような花火を見詰めながら、子供の表情は静かだった
――先刻と変わらずに。
「そのためにはベンキョウしなくちゃならない。ちゃんとした資格も必要だし、
それには今のままの生活じゃダメなんだ」
「そう言うがな、お前のような子供が独り立ちできる程、世の中は甘くはないぞ」
「知ってるよ。でも、最初から頑張らないで諦めるのはヤなんだ」
 ゆっくりと、確実な動作で子供は立ち上がった。
 折りしも最高潮に達した音楽と花火が、まるでその子供を祝福するかのように
賑やかに、華やかに、周囲を彩る。
「頑張って、それでもダメなら諦めもつくだろう? でも、何もしないでいたら
絶対にずっとコウカイする。それだけは、こんなオレでもワカル」
「……そうか」
 俺はそっとしゃがむと懐から紙片を取り出し、ある住所を書きつけた。
「決心が変わらないなら、ここへ行くといい」
「え――?」
「このメモを見せれば、あとは万事うまく取り計らってくれるだろう。信じるも
信じないもお前次第だ」
 俺の指先から子供の小さな手へと渡ったメモ。
「………」
 子供は暫く無言のままだった。
「……孤児院?」
「――とも、ちょっと違うんだがな。親から虐待を受けた子供達のだ。お前の
ような幼い子供が一人でいれば、悪意ある者達の獲物になるからな。己の所属を
はっきりさせておく方がいい」
「………」
 俺は更に懐から小銭を取り出した。
「そこまでの交通費だ、取れ」
「ホドコシは受けない!」
 俺は思わず苦笑した。
「その姿勢は御立派だがな、歩きでは到底無理だぞ。それに、これは恵んでやる
訳じゃない、“貸す”んだ」
「……ワカッタ。いつか必ず返す」
 数枚の紙幣と硬貨。俺にとっては極僅かな金でも、この子供にとっては値千金
の重みのある、未来への切符。
「ああ……羽振りが良くなったら、倍にして返してくれ」
「十倍にして返してヤルよ!」
 俺が見送る中を走り出しかけた子供は、途中で何を思ったか戻ってきた。
「どうした?」
「アンタの名前と住所、聞いてなかった」
 どうやら本気で借りたものは返す気でいるらしい。
「人に名を尋ねる時にはまず自分から、だろう?」
「! ゴメンナサイ」
 ぴょこんと頭を下げる。さっきとは打って変わって素直だ。
「オレ……ルカっていうんだ」
 にこっと笑った顔は、年相応の可愛らしさで。
 益々、俺のような世界には呼び寄せたくない。
「悪いが俺も一ヶ所に定住しない生活を送っているんでな、お金を返せるように
なったら、そこの院長にでも聞いてくれ――但し、聞くのは一度きりだ」
「う、うん……」
「俺の名は、ディヴィッドだ」
 差し出された右手を不思議そうに見たルカは、はっと気付き、握り返してきた。
「頑張れ、ルカ」
「アリガトウ、ディヴィッドさん」
「次に逢う時にはイイ女になってろよ――俺が口説きたくなるような」
「――!!」
 疑問符で一杯になった表情にまた笑いを誘われるが、向こうから別の警備員が
歩いてくるのが見える。長居するのは得策ではない。
「早く行け。見つかるぞ」
「う、うん。ホントにアリガトウ」
 今度こそ雑踏の中に消えていった後ろ姿を見送って、俺は警備を交代した。


 誰もいなくなった暗い遊園地。
 閉園後のここは、本当についさっきまで熱狂していた観客がいたのかと思う程
静まり返っている。
「お待たせ、スネーク。チェック終了したよ」
「それじゃ、帰るか」
 俺の方はとうに上がりの時間だったのだが、オタコンの方は人がいなくなって
からが本番だ。
 手順に従い、今漸く全ての機器に異常がない事を確認し終えたところだ。
「お先に」
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
 何人かの技術者にも挨拶を返し制服を着替えれば、そこにはいつもの俺達の姿
がある。
「さっき一緒に喋ってた子供、どうしたんだい?」
「……見ていたのか」
「食事休憩でさ、窓の外を見たら丁度君が見えた」
 職員用駐車場まで、短くはない道程をのんびりと歩く。
「君が怯えられないなんて珍しい事もあるものだと思って、思わず観察してたよ」
「あいつも、戦士なんだ。戦う者同士として、相通ずるものがあったのさ」
「ふぅん」
 それ以上突っ込んではこない。
 俺の相棒も読唇術には通暁している。ある程度は把握しているのだろう。
「どうだ? 帰ったら一杯つき合わないか?」
 ドアを開けながら問いかければ、微笑んだオタコンの顔が見えた。
「喜んで」


「“戦士達”へ、乾杯」
 触れ合うグラスが微かな音を立て――






 そして、今ではない時、ここではない場所。


 その日は、からりと晴れた好い天気だった。
 穏やかな小春日和で、微かに吹く風に糸杉の枝が揺れている。
 静かだった。
 やがて、遠くからリムジンの奏でる低いエンジン音が聞こえてくる。
 車止めに到着すると素早く一人の男が車から降り、後部ドアを恭しいといって
いい手つきで開けた。
 すらりと背の高い、ミラーグラスとつば広の帽子でその表情を隠した女性が、
ゆったりと車から降りた。着ているスーツも決して派手ではなく、しかし、見る
者が見ればすぐに値の張るものだと知れる。
 どうやらボディーガードらしい屈強な男達に軽く手を上げて合図し、そのまま
一人で歩いてくる。
 一つ一つ確認するように、その歩調は緩やかにして優雅だ。
 やがて、その歩みがぴたりと停まる――ある《モノ》の前で。
 取り立てて、周囲のそれとは変わる事がない、静謐の象徴。
「お久し振りです、ディヴィッドさん」
 女性は――ルカは、スカートが汚れるのも構わず、その場に膝を突いた。
「約束を、果たしに来ました」
 帽子を取り、サングラスを外す。
 一瞬震えた口元がきゅっと引き結ばれ、気丈にも微笑みを刻む。
「この場でお金をばら撒いても芸がありませんから、貴方のお名前で基金を創設
しました……あの日あの時、私が貴方に出会って助けられたように、今度は私が
救いを、必要としている子供達を……助けようと――」
 気丈な振りの演技もそこまでだった。
 握り締めた両手に、地面に突いた膝に涙が滴り落ちる。
「もう少し、早く……お逢いしたかった――!!」
 抑え切れない慟哭が、食いしばった歯の間から漏れた。
 長い髪が一際大きく吹いた風に乗り、まるで遊んでいるように揺れ動く。
 暑くも寒くもない陽光がただ穏やかに降り注ぐ。まるで天からの祝福のように。
「レディ……そろそろお時間です」
 車の傍で控えていた男が、申し訳なさそうにルカの横に並び、声をかけてくる。
勿論、帽子を取り一礼する事も忘れない。
 直接は知らなくても、今のルカがあるのはこの男のお蔭だと知っているのだ。
「……そう。もうそんな時間なの。悪かったわね、手間を取らせて」
「……いえ」
 ルカは泣き腫らした目で立ち上がると、もう一度、それを見た。
 深呼吸。
 まだ頬は濡れていたが、何とか微笑みを浮かべる事には成功する。
「アリガトウ、ディヴィッドさん。ホントにアリガトウ」
 あの時口にした言葉を繰り返す。
 そして、彼女は歩み出す、己の決めた道へと。
 振り返りは、しなかった――








「ねえ、ほんとに、本当に、このままでいいのかい?」
「ああ、俺などに人生を狂わせられる事もあるまい?」
「でも、ねえ……」
「これでいいんだ」
「君がそこまで言うなら、もう反対はしないけど――」
「あの邂逅こそが非現実の世界、一瞬の夢なのさ……」
「一瞬の、夢……」
「そう、夢なんだ」


「でも、それは何だか……淋しいね。夢でしか存在できないなんてさ……」





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